know の k、night の gh、island の s……。
「読まないなら書かなきゃいいのに!」と思ったことはありませんか?
実は、これらの文字が消えずに残っているのには、納得(?)の理由があるんです。
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昔はガッツリ読んでいた!「化石」になった文字
一番多い理由はこれです。
「昔は発音していたけれど、口が疲れるから言わなくなった。でも綴りだけは律儀に残した」
というパターンです。
knowやkneeのk古英語の時代、人々はこれを「クノウ」「クニー」とはっきり発音していました。しかし、kとnを続けて発音するのは口の動きが複雑すぎて、スムーズにしゃべりにくい。したがって、時代とともにkが脱落し、今の発音になりました。knightやlightのghこれはもともと、ドイツ語のch(バッハの「ハ」のような、喉を鳴らす音)に近い音で発音されていました。「クニヒト」のような響きだったのです。しかし、これも発音が簡略化され、音だけが消えてしまいました。
印刷機が時間を止めてしまった
15世紀、ウィリアム・キャクストンがイギリスに印刷機を持ち込みました。
これが「綴りの固定」を招きます。
印刷が普及する前は、人々は耳で聞いた通りに自由に綴っていました。
しかし、本を大量生産するには「標準の綴り」を決める必要があります。
皮肉なことに、「発音がどんどん変化していた時期」に「綴り」をガチッと固めてしまったため、音と文字のズレが永久保存されることになったのです。
「インテリ気取り」が余計な文字を足した?
これが一番厄介なパターンです。
16世紀のルネサンス期、学者の間で「ラテン語やギリシャ語への憧れ」が爆発しました。
彼らは、英語の単語に「高貴なルーツ」を刻もうとして、わざわざ読まない文字を付け足したのです。
island(島)のsもともとはilandと書いていました。しかし学者が「ラテン語のinsula(島)に似せるべきだ!」と勝手にsを挿入。実はこの二つ、語源的には全く関係がないのに、今でもsが残っています。debt(借金)のbもとはフランス語由来のdetでしたが、「ラテン語のdebitumにはbがあるから」という理由で、読まないbがねじ込まれました。
似た言葉と区別するための「目印」
文字を消すと、他の言葉と見分けがつかなくなるため、あえて残しているケースもあります。
whole(全体の)のw穴を意味するholeと区別するために、15世紀頃にwが付け足されました。- 語末の
e(マジックE)makeやpineのeは読みませんが、「前の母音を長く読むよ!」という合図(標識)として機能しています。
綴りは「歴史のタイムカプセル」
英語の綴りが発音通りでないのは、英語が「歴史の荒波に揉まれながら、過去を捨てられなかった言語」だからです。
一見無駄に見える k や b も、かつての騎士たちの息遣いや、昔の学者のこだわりを今に伝える貴重な手がかり。
そう思うと、少しだけ愛着が湧いてきませんか?
