前回の続きから、ナッテルがこの地へやってきた背景と、姉とのやり取りを書き出していきます。
サキ『開いた窓』
“I know how it will be,” his sister had said when he was preparing to migrate to this rural retreat; “you will bury yourself down there and not speak to a living soul, and your nerves will be worse than ever from moping. I shall just give you letters of introduction to all the people I know there. Some of them, as far as I can remember, were quite nice.”
「どうなるか目に見えてるわ」と、彼がこの田舎の静養地へ移る準備をしていたとき、姉は言った。 「あなたは向こうで引きこもって、誰とも口をきかなくなる。そして、ふさぎ込んで神経は今よりずっと悪化するのよ。 だから、私が知っている現地の人たち全員に紹介状を書いてあげる。私の記憶では、何人かはとても素敵な人たちだったはずよ」
Framton wondered whether Mrs. Sappleton, the lady to whom he was presenting one of the letters of introduction, came into the nice division.
フラムトンは、紹介状の一通を渡すことになっているサプルトン夫人が、姉の言う「素敵な人たち」の部類に入るのだろうかと考えた。
考察ノート
1. 語彙・表現のポイント
- Rural retreat: 「田舎の静養地」。 retreat は「退却」のほかに、喧騒を離れた「隠れ家・静養所」という意味があります。
- A living soul: 直訳は「生きている魂」ですが、否定文で使われると「誰一人(〜ない)」という強い強調になります。
- Moping: 「ふさぎ込む」「くよくよする」。
2. 文法のポイント:時制と構造
- his sister had said: 過去完了形 (had + p.p.) です。 物語の「現在」から見て、さらに過去の出来事(出発前の会話)を回想しているため、この時制になります。
- the lady to whom he was presenting…: 「〜に(紹介状を)差し出す相手である淑女」。 関係代名詞 whom に前置詞 to がついた格調高い表現です。
3. 当時の文化背景
- 紹介状(Letters of introduction): SNSがない時代、見知らぬ土地で身元を証明するための必須アイテムでした。 姉の「素敵な人たちだった」という記憶が、この後の展開の引き金になります。
[ 権利・ポリシーについて ]
- 原作: Saki (H.H. Munro) ‘The Open Window’ (1914)
- 著作権: 本作は著者の没後70年以上が経過したパブリックドメインの原文を使用しています。
- 私訳: 本文中の和訳および解説は、当ブログ(havefun3.com)が独自に執筆したオリジナルの著作物です。
